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お魚のアレルギー


日本皮膚科学会総会という皮膚科で一番大きい会議で横浜に来ています。島根大の千貫先生の講演がとてもおもしろかったので忘れないうちに一部をまとめておくことにします。アレルギーの症状にいくつかのパターンがあり、そのパターンから原因が推測できるようです。

パターン1:アトピー性皮膚炎がある方(10代の若い方):魚を食べたらノドがイガイガした、唇が腫れた、息が苦しくなった・・・魚の成分(パルブアルブミン)
パターン2:お魚を食べてから運動したら全身の皮疹や息苦しさや咳や鼻水や腹痛などのアナフィラキシー症状が出た(運動誘発型)・・・魚の成分(ゼラチン、コラーゲン)
パターン3:高齢者が急に魚のアレルギーになった・・・アニサキス

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2015MAY30
早朝のみ遠方に富士山が見えました。なぜかうれしい。


パターン1:アトピー性皮膚炎がある方(10代の若い方):魚を食べたらノドがイガイガした、唇が腫れた、息が苦しくなった・・・魚の成分(パルブアルブミン)

湿疹のある皮膚から魚の成分が入ってアレルギーが成立するようです(ある物質に体が拒絶するようになってしまった)。症状は口腔アレルギー症候群(OAS)というのどや口の中や唇に症状がでるアレルギーです。有名なのは桃やエビです。患者さんの年齢の中央値は15歳と若く、血液検査では、カレイ、アジ、サケなどが陽性になることがおおいようです。

原因となるパルブアルブミンは多くの魚に含まれますが、一番多いのはアカウオ(赤魚、赤うお)だそうです(カサゴ目フサカサゴ科メバル属 アラスカメヌケ) 逆にパルブアルブミンが少ないのはカツオ、メバチマグロ、ブリ、トラフグだそうです。注意が必要ですが、食べられそうな魚を、という場合には候補になるかもしれません(ただし、事前に皮膚テストでアレルギーを起こさないか調べておかなければ危険だと思いますが)

パターン2:お魚を食べてから運動したら全身の皮疹や息苦しさや咳や鼻水や腹痛などのアナフィラキシー症状が出た(運動誘発型)・・・魚の成分(ゼラチン)

運動で誘発される食物アレルギーは小麦やエビなどが有名です。パンを食べてから運動したら具合が悪くなって意識を失った・・・などという病歴です。魚で起きた場合はゼラチン、コラーゲン(ゼラチンをさらに細かくしたもの)によることが多いようです。皮膚に小さい傷をつけて、そこにお魚の身を置いて反応をみる検査や、プリックプリック検査が必要です。

パターン3:高齢者が急に魚のアレルギーになった・・・アニサキス
アニサキスは魚の寄生虫です。患者さんの年齢中央値は67歳だそうです。高齢者に多いんですね。マグロにはアニサキスはいないそうです(きちんとかかりつけの先生に指導を受けてくださいね。勝手に食べてアレルギーが起きても責任はおえませんので。)。アニサキスに対するアレルギーを調べる検査では、一般的に年齢とともに値が上がってくるのだそうです。したがって血液検査で陽性になった場合でも本当に原因かどうかは慎重に評価しないといけないようです。
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2015年05月31日 トラックバック(0) コメント(0)












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