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メラノーマの弱点がみえた?病原体とメラノーマの遺伝子変異


がん細胞が正常な細胞と異なる点の1つは、やたらめったら遺伝子が変異してしまうことです。がん細胞は自分が増殖できるように効率よく変化しているわけではなく(たぶん)、やたらめったら変異している中でものすごく増殖に適した細胞がたまたま生まれ、他のおだやかな(?)がん細胞を駆逐しながら増えていくのだと思います。

がん細胞の変異はランダムに起きます。DNAは設計図ですが、ごく一部分しか実際の生存に必要なタンパクに翻訳されません。生存に必須なタンパクの設計図部位に重度の変異が起きれば、がん細胞といえども生存できなくなります。

体にはたくさんの種類のがんができますが、遺伝子の変異部位が最も多いのが、メラノーマで、二番手が肺がんです。変異が多いほど悪性度が高そうな感じがしますが、2011年に認可されたメラノーマの新薬ipilimumab(免疫を上げるお薬)がよく効く方のメラノーマは効かない方より遺伝子変異が多いことがわかりました。この薬はがん細胞を攻撃する免疫を強くする薬です。免疫はがん細胞の表面の目印を認識して攻撃します。この目印はがん細胞を食べた細胞からごく短いタンパク質(ペプチド)としてリンパ球に情報が伝わり、リンパ球はこの目印をもつ細胞(がん細胞)を攻撃します。

参考文献
Genetic Basis for Clinical Response to CTLA-4 Blockade in Melanoma

2014DEC14
ルッコラ、コリアンダー、遅まきの野沢菜に雪


遺伝子の変異が多いメラノーマほどメラノーマ細胞を免疫で攻撃させるお薬ipilimumabに効くようなのですが、変異が多ければ必ず効くかというとそうでもないようです。この研究では変異の中で実際に免疫で攻撃されやすいタンパク(ペプチド)に翻訳される可能性のある変異遺伝子配列の有無について調べました。塩基配列はATGCの4つの塩基からなりますが、1個でも変化するとタンパクに翻訳されなくなったり(読めない設計図になる)、まったく別の短いタンパク(ペプチド)になったりします。

驚くべきことにipilimumabが効く患者さんのメラノーマの変異から予測されるペプチドの多くは現存するウイルスや細菌の表面に現れる抗原ペプチドと同じ配列を含むことがわかりました。変異が多いのにお薬が効かない(免疫学的に攻撃されない)方の変異遺伝子から予測されるペプチドは病原体と関係のないものでした。

そうです。がん細胞は意図していないかもしれませんが、やたらめったら起きる変異のなかで、たまたま病原体と同じ目印を作ってしまうと免疫的に攻撃されやすくなるということです。ヒトが長い系統的な進化の中で病原体と戦ってきた記憶(免疫)ががん細胞を攻撃している可能性があるということです。

この研究では、患者ごとにがん細胞と血液(本人の正常の組織)の全遺伝子配列を調べています(以前であれば莫大な費用と労力がかかっていましたが、科学の進歩により費用はすざまじいスピードで安くなっています)。免疫が攻撃の目印とするメラノーマが発現している抗原は個人個人で異なっています。それは、病名は一緒でもがん細胞の特徴は個人個人でおおきく異なり、また攻撃する側のがん細胞(ペプチド)を認識するリンパ球の受容体の型(HLA)も個人個人異なるからです。これまでの研究ではなるべくがん細胞に共通した抗原を探して、それをワクチンとして利用しようとしてきました。もしかすると、個人個人のがん細胞の全遺伝子配列から攻撃目標とするペプチドを選び出してワクチンとして作製し、免疫を上げるお薬とともに投与するというような究極のテーラーメイドの免疫療法がそう遠くない時代に可能になるかもしれません。
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2014年12月13日 トラックバック(0) コメント(0)












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