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皮膚の模様ができるわけ(事件は現場で起きている)

週に1回、自分が興味を持った論文をみんなに紹介する会があります。抄読会(しょうどくかい)とかJournal Clubなどと呼びます。半年に1回程度自分に順番が回ってきます。今日が自分の当番でした。自分にとって異分野の論文を読む場合は、用語の解説などを含め、準備に時間が必要です。時間もなかったので最近読んだ中で面白かった論文”Changing clothes easily”を選びました。大阪大学の近藤滋先生達のテーマである、動物の模様はどのような仕組みでできているのか?という論文です。

日常の診療では、色素のパターンによってほくろやメラノーマ区別するのですが、良性と悪性を見分ける普遍的なポイントは規則性です。例えば良性のほくろは斑紋ならサイズや分布、網目なら網目の紐の幅や網目の目のサイズに規則性があります。つまり良性は一様です。でも斑紋や網目のパターンはどのようなしくみでできるのでしょうか?皮膚の表面が削れても皮膚のしわは前と同じように復活します。これは皮膚の下に上が欠損しても復活できるように情報が備わっているのでしょうか?生まれつき細胞に位置情報がインプットされているのでしょうか?でもそんなことをしていたら情報量がとんでもない量になります。ずっと上から指図しなければならないシステムは脆弱です。

近藤先生が明らかにしてきた研究結果では、模様は現場の細胞同士のいがみ合い(近くでは互いを牽制する抑制系)と遠く離れればどちらか一方がもう一方の細胞集団に助けてもらう(促進系)という微妙な関係(対話?)でできるのだそうです。

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ゼブラフィッシュという縦じまの魚がいます。この魚の中には豹のようなスポット状の模様を呈する変異体がいます。この変異体の原因遺伝子がコネキシンという分子の構成に関わる遺伝子であることがわかっています。面白いことにコネキシンとは、隣り合った細胞同士をつなぐ細い管を作る遺伝子でした。つまりコネキシンは細胞同士の対話に関係する遺伝子ということです。ゼブラフィッシュの黒の縦じまは色素細胞、その間の黄色は黄色細胞でできています。両者の関係は近いとお互い反目する関係(少数になったほうは駆逐される)ですが、黄色細胞を全て除いてしまうと色素細胞も減ってしまいます。色素細胞を除くと黄色細胞は増えます。つまり、近くでは反目しあうが、色素細胞は離れたところに黄色細胞がいないと生きにくい関係にあります。「近くにいれば反目するが、遠くからは援助してくれる」・・・なんかある人間関係が思い当たるような・・・

このような関係があると模様ができることをを数学的モデルで初めて証明したのがチューリングという先生です。1952年のことです。60年前です。「2つの仮想的な化学物質が、ある条件を満たして互いの合成をコントロールしあうとき、その物質の濃度分布は均一にならず、濃い部分と薄い部分が、空間に繰り返しパターン(反応拡散波)を作って安定する」という理論です(次のサイトより転載)。抑制系と促進系がチューリング先生は現在のコンピューターの理論のパイオニアとしても有名で、現在でもチューリング賞というコンピューター関連の賞にその名前が残っています。

話をもどします。

近藤先生達のの実験では、コネキシン41.8というたった1つの遺伝子の末端の塩基配列をいじった遺伝子の組み合わせで、ストライプ、ドット、迷路状、ドーナツ状の模様が作れることが示されました。つまり前もって決まっている位置情報で模様ができるのではなく、隣り合った細胞間の関係や遠く離れたときの関係がきちんと決まっていれば模様が出現してくるということを示しています。上からの個別の指令ではなく、現場のルールで模様ができるということです。線状も斑状も迷路状も、形はとても違って見えますが、基本的には同一の数式におけるパラメーターの数値をちょっと変えただけでできるということです。

近藤先生はシマウマの縞模様はなんのためにあるのか?などについてHP(大阪大学大学院生命機能研究科・パターン形成研究室)で楽しい説をわかりやすく説明されておられます。おすすめです。

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2013年03月24日 トラックバック(0) コメント(2)

ありがとうございます。

2013年05月07日 ビーアンビシャスボーイズ  URL 編集

おはようございます。久々の訪問になりました。複雑系の典型のような仕組みですね。少しのパラメータの違いが多様な違いを生む。フラクタルな世界ですね。

2013年05月07日 azm URL 編集












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