足からのリンパの流れ(足底からのリンパ流は膝を通るのか?)1
足からのリンパの流れ・・・というような検索をネットで行うと、ほとんど、むくみを解消するためのマッサージに関連したサイトがヒットしてきます。
医療でリンパの流れがよく問題になるのは、次の2つです。
1)腋(乳がん)や脚の付け根(婦人科、泌尿器、皮膚科のがん)の手術後の腕や下肢のむくみ
2)癌の転移
今回は(2)関連で書いてみます。
メラノーマに限らず、癌はできた場所を離れて他の場所に移り、そこでまた増える・・・転移(てんい、といいます)を起こすことがあります。転移するときに使う道は2つあって、1つはリンパ管(リンパ節へ移動します)、もう1つは血管(静脈を使って心臓に戻ってから動脈に乗って肺や脳などの内臓に飛びます)。
皮膚の下の脂肪を走るリンパ管は、同じところを走っている静脈に沿っています。リンパ管の中には警察官であるリンパ球や免疫を担当する細胞が行ったり来たりしています。またリンパ管の壁はものが通りやすくなっていて、吸い上げた水(体液)も流れています。この警察官たちの待機場所(所轄の警察署)がリンパ節です。足の先から始まる細いリンパ管は川と同じように体の中心に向かいます。下肢のリンパ節(警察署)は主に2箇所にあって、膝の裏の脂肪の中の動脈のそばと、脚の付け根(太ももとお腹の付け根:ソケイといいます)にあります。1個だけではなくジャガイモみたいに何個もつながってあります。
さて、普通に考えると、足の先からのすべてのリンパの流れは膝の裏のリンパ節を通って、次に脚の付け根に入ると考えがちです。
でもちょっと違います。足首から先の部分からのリンパ管の流れには2つあります。
1つは、足の内クルブシから膝の内側(膝のリンパ節を通らずに)の浅い脂肪の中を通って、とにかく筋肉の上の脂肪の中を通って脚の付け根に直接入るルート。もう1つは、ふくらはぎから膝裏の脂肪の中のリンパ節を通って、そのまま筋肉と筋肉の深いところを通る動脈にそって下肢の付け根のリンパ節に入るルートです(言葉だけだとわかりにくいですね)。
解剖の教科書には、足の外側からは膝のリンパ節を通り、足の内側からは直接脚の付け根に入ると書かれています。
しかし・・・・
メラノーマは足の趾や足の裏のどこにでもできますが、膝の裏のリンパ節に転移を起こすことはとても珍しいのです(1%以下)。
長くなりましたので、続きは次の記事で
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