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顔がほてる 赤ら顔が気になる

中高年以上の女性で、寒いところから暖かい部屋に入ったときなどに顔がほてって、赤ら顔になる。
だんだん赤みが引かなくなり、頬やおでこがずっと赤いままになってしまった。

酒さ(酒皶、しゅさ、Rosacea、ロゼイショ)の軽いタイプかもしれません。
酒さは特に原因がはっきりしない場合の病名です。

なお、酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)は字のごとく、”様”がついていますので、長い間ステロイドの塗り薬を使ったときの副作用で出る症状です。酒さとは違う病気です。

今回は酒さの治療(塗り薬や飲み薬を中心に)についてまとめてみます(米国の医師向け電子教科書UpToDateから)。

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niwadebi-ru

赤ら顔で悩んでいる方は結構います。気分も落ち込みますし、すがるような感じで外来を受診されます。まずステロイドを塗っていないか、更年期の可能性や他の症状がないか聞きます。特に原因がはっきりしなければ酒さを疑います。

チリチリとした細い血管が増えていたり、ニキビのようなブツブツができていたりすることもあります。時には頬がパンパンにむくんだ感じや、目の結膜が充血する場合もあります。

日常の注意を受け、漢方やお化粧を勧められる。でもあまりよくならない。

酒さの治療は難しいです。日本の教科書にも治療についてあまり詳しく書いてあるものは少ないようです。そこで、証拠にもとづいた医療(EBM:Evidence based medicine)を行うために、参照することの多い米国の電子教科書UpToDateをあたってみました。

まずいきなり、酒さにの治療についての研究のほとんどは質的に満足できるものではない(これだという証拠がない)、また酒さの治療のゴールは完全に治すことではなく、なるべく落ちつかせること・・・と始まりました。うーん。やはりそうだったか。でも、がっかりせずに次に進みます。

では、証拠がある治療法は、

1.メトロニダゾール(商品名:フラジール。トリコモナスとピロリ菌の除菌のみに保険適応あり。内服薬)の外用・・・日本にはありません。並行輸入するか、薬局にたのんで作ってもらうしかありません。保険も通っていません。ということは厚生労働省もこういう使い方を認めていないということです。患者さんと処方する医師の責任で使うということになります。患者さんのためには使いたいですが、病院、医院によっては制約があって使えないところも多いでしょう。私は使ってます。よくなる方がいます。

輸入品ではガルダーマメトロニダゾールクリーム(Galderma Metronidazole Cream) というのがあります。この製品はFDAが2005年に酒さに対して認可しています。臨床試験ではニキビ様のぶつぶつは60%減少し、赤みにも効果があるそうです。ガルデルマという会社の製品ですが、ここは昨年日本で認可になったディフェリンゲルを販売している会社です。日本にも早く入らないだろうか。


2.アゼライン酸クリーム(商品名アゼルダクリーム。本来はニキビに使われる殺菌剤。にきび菌に効く)。日本では正規に入手できません。並行輸入することになります。私はみたこともありません。

乏しいながらも少し証拠があるものは、

3.上記メトロニダゾールの内服
4.テトラサイクリン系抗生物質(商品名、ビブラマイシン・・共にニキビに使います)。4週間飲んでよくなれば減量する。長く飲む必要があるかもしれないとコメントされてます。


その他、証拠があまりないけれど、UpToDateで勧めている治療法

5.洗浄剤はCetaphilやDoveといった刺激性の少ないものを使いなさい。
6.サンスクリーン剤を使いなさい。
7.上記1-4に併用したり、次に使う治療薬として、
 ・Benzoyl peroxide (ベンゾイル・パーオキサイド)・・・ニキビ用抗菌剤(基本的は並行輸入)
 ・クリンダマイシン(商品名:ダラシンTゲル)
 ・エリスロマイシンローション(エリスロマイシンの飲み薬は国内にありますが、ローションやゲルは   輸入)
8.トレチノインクリーム・・・ニキビの薬。日本に入っていません。似たような製品がディフェリンゲル(アダパレン)です。酒さに対して、メトロニダゾールと比較した論文がありました。

結果は、赤みについてはメトロニダゾールのほうが効く。ニキビ用のブツブツについては両者の効果は一緒とのことでした。ニキビ用のブツブツができている方には効くかもしれませんね。

9.その他注意すること・・・アルコール、スパイシーな食べ物、紫外線、極度に暑い環境を避けましょうと書いてありました。特に酒さに効く食べ物はないそうです.

ネット上で”酒さ”で検索すると良くヒットする漢方についての記載はありませんでした。
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2009年05月06日 トラックバック(0) コメント(5)

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2013年07月09日 編集

返事が遅くなりました。まず、酒さの治療にメトロニダゾールを使用する場合、FDA(アメリカの厚生労働省みたいなところ)が認めたのは外用剤です。内服ではありません。ただ、日本では製剤がありませんので、病院で独自に調剤(内服薬用の薬をワセリンなどに溶いた自家製外溶剤)する必要があります。これはもし外用でトラブルが起きると製造者責任を問われます(調剤した病院や医師が責任を問われる)。メトロニダゾール外溶剤もすぐに効果が出るわけではなく、私の経験では、前より少しいいかな?という程度に徐々に赤みが目立たなくなっていくという感じです。ニキビには効きにくいと思います。まずは本当に酒さなのか、きちんと診断してもらうことが大切と思います。顔にニキビ様の皮疹ができる原因はたくさんありますので。

2011年11月30日 ビーアンビシャスボーイズ  URL 編集

はじめまして、エリナと申します。
数年前に両頬が、酒さ様皮膚炎になり、今もニキビのような化膿と火照りが続いています。
最近、メトロニダゾールを知り、皮膚科で処方して頂き、3週間服用しました。(一日一錠)
以前と変わらず、化膿や火照りは変わらなかったのですが、これは私には効果がなかったのでしょうか?
普通、効果のある人は、どれくらい服用して効果が出てきますか?
メトロニダゾールは、ニキビダニが原因の酒さ様皮膚炎にしか効果がないのでしょうか?
質問ばかりで申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願いいたします。

2011年11月28日 エリナ URL 編集

酒さや酒さ様皮膚炎は長引くので精神的にもかなり大変だと思います。ご依頼の件についてですが、大変申し訳ないのですが、諸般の事情により、現時点では診察の依頼はお受けしていません。すいません。

2010年12月30日 うはら皮膚科 URL 編集

こんにちは。6年前に引っ越した後、環境の変化の影響が出たのか、顔がカサカサしたため、町医者で処方された塗り薬(キンダベート5対ワセリン5)を夜寝る前に顔面に塗布。4ヶ月ほどして赤ら顔やブツブツが出るようになり、ステロイドを中止。一時的なリバウンドを経て、赤ら顔の酒さ様皮膚炎になって早6年です。その間プロトピックも1ヶ月ほど使用しましたが、体質的に合いませんでした。もともとアトピーでは無いですが、花粉症です。時間の経過とともに、少しづつ良くなってきてはいますが、やはり赤ら顔が嫌で嫌で仕方ありません。

ネットでニトロメタゾールについて情報を得て、取り扱っている病院を探しましたがなかなか見つかりませんでした。こちらのブログで「私は使っています」と書いてあったので、通院できる範囲であれば通院したいのですが、先生はどちらで病院をされているのでしょうか?また、メトロニダゾールが効果を発揮する患者のタイプなどがありましたら教えて下さい。

よろしくお願いします。

2010年12月28日 赤トラ URL 編集












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